狭間にて
ふと目が覚めた。
夢の残り香さえ感じられない、唐突で静かな目覚めだった。微睡みすら尾を引かずにさらりと消えて。深くよく寝た後の、すっきりとした心地がそこにあった。
審神者はあたたかい布団の中で、ひとつ長く息を吐いた。もぞもぞと布団から手を出して顔に触れる。肌の表面はひやりとして、鼻先はすっかりと冷たい。ま る で 冬だ。
彼女は目を閉じたまま思い起こした。昨晩天気予報を確認したときは、今日は晴れの予報で、あぁまた日中は暑くなるのだなと思ったはずだ。こんなに、冬の寒さになるほど冷え込む予報では決してなかった。
すっかり意識の醒めた審神者は、あたたかい布団で横たわったまま考え込んだ。
本丸システムの設定に何か間違いがあったのかもしれない。彼女は本丸内の気候を、結界の外、暦に合わせて移ろわせるよう設定している。しかし、時期を問わずに一つの季節を選ぶことも、気候を一定にしておくことも、できないことではない。
確認しなければいけないか。そう決めて、やっとまぶたを持ち上げ、おや、と彼女は瞬いた。あまりすっきり目が覚めたから、きっともう明るいものと思っていたのに、部屋の中は暗かった。時間設定で点くようにしてある照明も未だ眠りについているほどの、朝早い時分らしい。
彼女はゆっくりと体を起こした。冷気がさっと取り巻いて、彼女は思わず身を縮めた。
暑さ嫌いの彼女は冬が好きだ。気温が上がれば、冬が恋しいと冗談交じりに溢すこともある。今とて、この空気の冷たさを懐かしく嬉しく思いはする。けれどもこの気温差は人の身体には良くないものだ。彼女の大事な百口の刀たちが調子を崩しでもしたらたまったものではない。
ベッドから足を下ろし、立ち上がり、次第に暗がりに慣れてきた目でベッド脇の机の上を見て、審神者は動きを止めた。そこにあるはずの時計が無かった。昨晩寝る前に外した腕時計も無い。
彼女は額に手を当てため息をついた。考え得る事態が増えてしまった。そう何度も異常事態には遭いたくないのだが。
そもそもここは本当に彼女の本丸なのだろうか?
それともまだ夢を見ているとでもいうのだろうか。こんなにも意識がはっきりしているのに?
彼女は手の甲を抓った。痛みはある。
もうひとつため息をつく。自分の置かれた状況を把握する必要がある。だが軽率な行動は禁物だ。
閉じたまぶたの裏に、金の影がよぎる。彼は、ここにいるのだろうか。せめて彼女の刀の誰か一振りと合流できるまでは、自分の身は自分でなんとかしなければ。
ひとまず。彼女は知らず抱えていた腕を放した。今は着替える必要がある。
「んー……」
彼女はとうとう呻き声を溢した。
必要最低限の明かりを灯した室内は、彼女のよく知る自室に見えた。常の通りに衣装戸棚 を開けて、彼女は一度動きを止めた。見慣れた衣装箪笥、の前に、見知らぬ桐箱が一つ置かれている。着物用であろうそれには手を触れず、彼女はまずクローゼットを見回した。
和装と洋装とを、時と場と気分で着分ける彼女の手持ちはそれなりの数がある。ハンガーに掛けた洋服にコート、箪笥の中、畳紙 に仕舞われた着物や着付け小物。皆彼女のものだった。少し前に仕舞い込んだ冬物が今ここにある。
何が起きているのやらと眉をひそめつつ桐箱を慎重に開け、その中の畳紙 をそっと開いて、審神者は思わず呻いたのだった。見覚えのない長着が一枚、そこに丁寧に収められていた。
照明の下に箱ごと引っ張り出す。温色の弱い明かりでは確かな色はわからなかったが、どうやら裾にグラデーションの染めが入っているらしい。灰色がかった色味だろうか。少なくとも、濃い色でも白でもないらしいことは確かだった。正絹のひんやりした手触りと艶、とろりとした質感と重みがあった。
これは、私のものだろうか。
審神者は思った。彼女のものが揃ったクローゼットに、一つだけある彼女の知らないもの。一旦たとうを畳もうとして、彼女は気付いた。何度か利用したことのある万屋街の呉服屋の屋号紋が入っていた。更には右下に〈□□様江〉と審神者名の宛書がある。つまるところ、この着物は彼女のものらしい。
彼女は首を捻った。やはり明晰夢でも見ているのだろうか。それとも誰かの悪戯か。否、彼女の刀剣男士たちの中には、夜半に主人の寝所へ忍び込むような無礼者も、それを見逃す空 け者もいない。
彼女は桐箱からたとうを取り出した。もう一枚、下にたとうが入っている。二回り程小振りなそれは帯用のものだ。用意が良いなと紐を解く。
帯の方は、白っぽい地色の名古屋帯らしかった。照明が当たると光沢が際立つ。微かな明かりを頼りに目を凝らせば、図柄はヱ霞文と知れた。菊に桜、紅葉が、記号化された霞の紋様の中に敷き詰められている。
少し格の高い取り合わせだな、と審神者は長着と帯を並べて眺めた。礼装とまではいかないが、少しばかりかしこまった場に着ていくようなものだ。彼女はしばしの間の後、立ち上がり、箪笥の引き出しを開けた。
障子を開けて外に出る。外気の冷たさに審神者はきゅっと首を縮めた。部屋の内とは比べ物にならないほど寒い。そろそろと姿勢を直し、ほう、と息を吐く。まだ暗い夜の空気に、吐息は白く立ち昇り、広がり、消えた。
彼女はゆっくりと辺りを見回した。よく晴れているからか、朝が近づいているのか。常夜灯にも助けられて、なんとか周りの景色を捉えることができた。見慣れた本丸の風景と変わらないように思える。
彼女は廊下を歩き出した。もうずいぶんと彼女の緊張は薄れてきていた。おそらくここは彼女の本丸であって彼女の本丸ではなかったが。害意のある場所でもないだろうと彼女は踏んでいた。
敵に攫われたのならば、これほどまでに彼女の本丸じみた空間が用意されている意味がわからない。むしろ既に命を奪われていそうなものだ。そもそも、刀剣男士たちに誰ひとり悟られず審神者の拉致など実行できるものか、甚だ疑問である。
仮に時の政府の仕業であっても、やはり彼女の本丸や自室や私物を忠実に再現する必要は無さそうな気がした。手間が掛かりすぎる。
もちろん甘い見通しだ。油断はできない。だがしかし、本当にここは一体何なのだろうか。
うん。審神者は頷いた。何もわからない。
彼女は足を止めた。何もわからないが故に、今は執務室の前で朝を待つことにした。彼女の本丸の、彼女の執務室は、シェルターでもあった。最も安全な場所のはずなのだ。
明るくなるまではここにいようと思った。部屋の中にいては却って外が気になって不安を煽りそうだから、廊下に座っていればいい。危険を感じたら執務室に逃げ込めば、それできっと身を守れる。
審神者は空を見上げた。未だ闇の濃い夜空だ。しかし、東の方が、ほんの僅かに、明るんできていた。
審神者は暇を持て余していた。執務室から取ってきた大判のブランケットに包まって、手持ち無沙汰に前栽をうち眺めていた。
執務室も、やはり彼女の執務室そのものだった。足を踏み入れれば室内照明が自動で点灯したし、物の配置も彼女の記憶通りだった。業務用の端末に電源が入らないことがわかったときこそ背すじがひやりとしたが、部屋の隅の結界の札さえ、記憶と違わずそこにあった。
じわりじわりと空は闇を薄めていく。じれったいほどゆっくりと。
今ならきっと一等好きな夜明けの時間に間に合うのにと、幾度思ったことだろうか。軽率な行動を厳に諌めている今でなければ、きっと彼女は展望室まで駆け上がっていたはずだ。
軽挙妄動は控えよ、と、同じだけ繰り返した。戦場に実際に立ったことなど無いに等しい審神者が気を張り続けるには、この場はあまりに静かで、あまりに身に馴染んだ本丸そのものでありすぎた。
これならば、昨年、いつだってあの悠揚 迫らざる態度を崩さない男が野暮用などと抜かして本丸を出て行ったときの方が、よほど本丸は異空間じみて、審神者は神経を擦り減らされたものだと思う。
審神者はため息をつきたいのを寸前でぐっと堪えた。
――国広、
口許を覆った手のひらの下、音にはせずにその名をなぞった。
視界の端に動くものを感じて、審神者はさっと床に手を付きその方向を見た。
「主?!」
その男は慌てた様子で廊下を足早に向かってきた。審神者は僅かに腰を浮かせた。
この刀は、果たして私のものだろうか。
男は、一間 ばかり空けて――つまりは彼が刀を伸ばしても審神者には当たらないだろう距離で――膝を突くと、やにわに諸手を付き、がばりと頭を下げた。橙色の鉢巻が軌道をなぞってひらめいた。
「すまない! この失態、誠に面目次第もない」
審神者はいつでも立ち上がれる体勢を取り、じっと男の頭を見つめた。
「……所属を、仰いなさい」
「山城国所属、本丸コード――、□□城、審神者名□□、近侍、山姥切国広」
その男はつらつらと淀みなく述べた。審神者が逡巡する間に、彼は続けた。
「……あんたの、終生の守り刀だ」
その言葉を聞いて、審神者は息を吐いた。身体の緊張を解く。
最期の時まで傍にあれと、彼女は約束させていた。それを受けた彼の自称を、目の前の男が知っているのなら、ひとまず信用して良いと思えた。彼女の刀である可能性は高い。
「山姥切国広。……あなたは、私の刀?」
「ああ。あんたのための刀だ」
力強い肯定に、審神者は頷いた。
「良いでしょう、信じます。さ、顔を上げて。状況の説明をしてくれない?」
「かたじけない。無論説明はする。だがその前に部屋に入ろう。いつからそこに?」
「時計が無いから知らない。それより展望室が良いな。良いでしょう?」
時計のことを口にすると、山姥切は思いきり苦い顔をした。口振りからして勘付いてはいたが、彼女がここにいるのはどうやら彼のせいらしい。
歩き出した山姥切の背に審神者も続いたが、数歩もしないうちに山姥切は足を止め、渋い顔で振り返った。
「……あんたな。少し離れたらどうだ」
「え、なんで」
はぁ、とため息。
「危機感を持てと言っている。あんたはここがどこだかもわかってないし、俺が本当にあんたの俺なのかも確信は持てていないんだろう。不用意に近付くな」
そう諭され、今度は審神者の方が顔をしかめた。
「叱られるのは心外なんだけど? このわけのわからない状況で、今は一番信が置けると思ったからついていってるのに」
「変な場所に連れ込んであんたを害するかもしれないんだぞ」
「ああもう、そうやって言うならしないんでしょう? 良いから行って」
埒が明かない、と審神者は首を振った。この過保護さ、私の国広だわ。彼女は思った。
渋面のまま再び背を向けた山姥切を、馬鹿、と胸中で詰った。
「……丸腰で一人朝を待つよりずっと良いに決まってるじゃない。私の刀なんでしょう」
先を歩く山姥切が振り返ることはもう無かった。
「それで? ここはどこで、私はどうしてここに?」
共同棟の階段を上り、物見櫓を兼ねた最上階の展望室に着くと、軽く呼吸を整えてから審神者は率直に訊いた。まあ座れ、と促されて腰を下ろす。もちろん東の方を向いた。日の出直前の橙色が強く色を放っている。
寒くないか、と問う山姥切は、やはり審神者から距離を置いて立っていた。
よほど後ろ暗いことでもしたのだろうか、と彼女は思った。言葉選びに時間を掛けるのは主従揃っての癖のようなものだが、問いへの答えを先延ばしにするような真似は、彼にしては珍しかった。
「ここは……」
固く閉じられた唇をやっと引き剥がすような重い口振りで、山姥切は言葉を発した。
「……俗に言う、その、神域、というか……」
歯切れ悪く言うと、山姥切は再び膝を折った。腰から鞘を抜き取り、柄を左に回して体の前に据え、一歩下がると彼の主人に向かって額突 いた。
審神者は東の空から目を放し、彼女の刀に体を向けた。ぐるり、と辺りを見回し、やっぱり見慣れた本丸だなぁと思う。肩の力は抜けていた。
「つまり、私は神隠しをされていると」
「……端的に言えば。言い訳にもならないが、連れ込むつもりは、無かったんだ……」
「あぁ、それで『失態』……」
山姥切の声は、明らかに気落ちして低く沈んでいた。
対する審神者は、なるほど、と納得して頷いていた。力の抜けた声がいささか間延びしている。
「出られるの?」
「あっちのあんたが目を覚ませば、恐らく」
「おそらく」
「本当にすまない、俺も、……無責任極まりないが、想定外なんだ、あんたが来るのは」
「私の意識だけここに来てる?」
「そう、だな。というより、あんたの夢をここに繋いでしまったんだと思う」
「あー……」
額を床にめり込ませそうな勢いで平伏している彼女の忠臣を、審神者はしばらく眺めていた。ここまでの彼の言動を思い返す。
「『変な場所に連れ込んで害するかも』……なるほど?」
「……あんたを害する気は断じて無い」
「約束は?」
「それは別の話だろう」
審神者はそこまでやり取りして満足した。ほぼ確実に彼は彼女の山姥切国広だった。彼女が一等信頼する彼の手の内にあるのなら、何を心配する必要も無かった。戻れるのならば尚のこと。
じわりじわりと増していく朝の光が、室内を淡く照らしていた。山姥切の金の髪がその光に透けるのをこっそりと楽しみながら、審神者は彼に近付いた。
彼の前に膝を突く。こちらに差し出すように置かれた刀を手に取り、半回転、柄を左に回して両手に持った。
「顔をお上げなさい、山姥切国広。
刀は返します。私の守り刀としての務めを果たしなさい。
ざっくりと事情はわかりましたが、事の次第を最初から話してくれる? ついでに後で始末書も書くこと。
あとは……、んー、正直言って、私全然気にしてないんだけど、まあ何かしら処分は要るわよねぇ。戻ったら考えましょう。第一部隊呼んでおいてね」
「……委細承知した」
山姥切は怖 ず怖 ずと頭を上げ、差し出された刀を両手で受け取った。
第一部隊を呼べ、というのは、この本丸の山姥切国広にとっては最上級の脅し文句だった。第一部隊といえば最古参で最高練度の、総隊長たる彼と肩を並べて戦場に立つ面々である。そして常時近侍を務めている彼に負けず劣らず、彼らは審神者を心底大事に思っていた。審神者に何かしようものなら、相手が初期刀で近侍で総隊長の山姥切国広であろうと容赦しない、それは強固な砦であった。
まあそれだけのことをしでかしたわけだが。彼は小さく息を吐いて、姿勢を正した。
目の前で、審神者が真っ直ぐに彼を見ていた。
――このところ、気温が上がって、あんたが少し萎れているなと思っていたんだ。それで、昨日も、天気予報を見て、あんたが少し嫌がっていそうなのが見えたから……。それでもあんたが本丸の気候をいじったことは無かったし、これからもそうするつもりなんだとはわかってはいたんだが……。あんたが年中過ごしやすくいられるとしたら、どんなところだろうなと、思ったんだ。あんたが好きな冬の朝を、あんたが好きなだけ楽しめたらいいと思ったのも覚えてる。多分、そんなことを考えながら、寝て、うっかり、と言うと本当に酷い話なんだが、他に言い様が無いんだ。うっかり、あんたの夢に、干渉したんだろうな……。
「却ってあんたに迷惑を掛けた。本当に悪かった」
最後ばかりは逸らしていた目を審神者に戻して、山姥切は今一度謝った。
そっか、と審神者は頷いて返し、それから小さく苦笑いを溢した。
「発端は私か。本当、暑さに弱くて申し訳ない」
「そういうものなんだろう、もう慣れた」
「ありがとう。……ねぇ、時間経つのゆっくりにしてある?」
審神者は東の方を振り返った。
「空の変化がゆっくりなの」
未だ明けゆく空には橙が色濃く残っている。体感では、もう既に白々と昇りゆく日の光で満ちていてもおかしくない時間が過ぎていた。
「そうだな」
山姥切は静かに頷いた。この程度のこと、本丸のシステムでもやろうと思えばできるだろうに、彼の主はそれをしない。こんなに柔らかく笑うのに。
「これ、用意してくれたのも国広?」
審神者は両袖を持ち上げて見せた。実際のところはブランケットとケープコートの下に隠れていたが、山姥切は指し示すものに気付いて頷いた。
「ああ。……見せるつもりも、着せるつもりも無かったんだがな。
まだ早いか。西の、空の色だ。あんたにきっと似合うと思った」
「……珍しい」
「柄でもないことをしているのはわかっている」
僅かに眉を下げて微笑むのを見て、審神者は立ち上がった。留具を外し、コートを肩から落とす。襟のファーが首から離れ、冬の冷気が項 をひやりと撫でていく。
次第に白んできた光の中、贈られた着物に初めてきちんと目を落とした。
灰色がかった青みの地に、淡い紅色、浅い紫と、グラデーションの染めが、前裾と右の袂 に入れられている。
審神者は西の空を見た。もう少しすると、確かにこの色の空になるだろう。
「……いつも、ここであんたの背を守りながら、あんたに似合う色だろうと思っていた。やはり、思った通りだったな。
紅掛空 色、というのだろう?」
「そんなことを考えてたの?」
驚く声に、山姥切は無言で表情を緩めた。ごく浅く弧を描くその瞳を見返して、審神者も笑った。
「私は『紅碧 』と呼ぶ方が好きよ」
きょとんと瞬く山姥切に、審神者は尚も笑った。
「戻ったら調べてみたら? 同じ色よ。
さて、そろそろ下に戻りましょうか。きっと向こうも、もうじき朝でしょうし。早く起きすぎたみたいだし、もう一眠りしようかな」
「それが良い」
コートを羽織り直す審神者の横で、山姥切が立ち上がる。鞘を左の腰に戻し、始末書とあいつらの説教……、と確認するように呟いている。
その姿を見、東西の空をもう一度見渡して、審神者は山姥切に視線を戻した。
「ねぇ国広」
「どうした」
「もう、ここには連れてこないでね」
告げた審神者に、山姥切は目を見開いた。謝罪しようと口を開いた彼を、さっと片手を上げて制し、彼女は困ったように微笑んだ。
「すごくね、嬉しかったの。やっぱり冬は好きだし、あなたが私のために用意してくれた場所は、きっととても居心地が好い。
でも、だからこそ、いつでも来られるんだって思ってしまったら、きっと私、もう頑張れない」
神妙な顔をして黙り込んだ山姥切を前に、審神者はもう一度笑った。
「だって、今ももう帰りたくないのよ、帰ったら25度だもの! 絶対無理!」
悲鳴のような叫びに、山姥切は声を上げて笑った。